じょんしゅう日記

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イマココ――渡り鳥からグーグル・アースまで、空間認知の科学

イマココ――渡り鳥からグーグル・アースまで、空間認知の科学

原題は"YOU ARE HERE: Why We Can Find Our Way to the Moon, but Get Lost in the Mall"。
動物や人はどのように空間を認識しているのか。そして、人の空間認知システムが私たちが生きる空間とどのように関わるのか。そんなことが書いてある認知科学の本。
前半はアリや伝書鳩の話と人間の話。アリは自らの現在地情報を把握可能だが、人間はそうではない。人間はアボリジニーなどでも無い限りそんな能力は持っておらず、空間を頭の中でつくり直して理解している。
後半はそんな人間と、住まいや都市、サイバースペースなどの生活空間との関わり。例えば、都市の章ではコルビュジェの都市計画の失敗例や、ジェイコブスの言葉などに触れながら、人間の空間認知システムや動き方と都市計画の関わり、人々を魅了する都市のポイントを探る。
わりと面白い。補論として濱野智史氏による論考が載っており、そちらも(の方が)面白い。



図説科学・技術の歴史 下 約1600-1900年頃―ピラミッドから進化論まで

図説科学・技術の歴史 下 約1600-1900年頃―ピラミッドから進化論まで

古本で安く手に入れた。上巻は無かった。
下巻はヨーロッパの科学革命(「科学革命の形成」)、例えばデカルトの機械的自然観、ガリレイの発明・発見、ケプラーの『新天文学』、フェルマーの定理の話などから始まる。その後、「ニュートンを中心に」、「啓蒙思想の時代」、「産業革命の時代」、「20世紀の科学・技術へむかって」と続く。出版は1985年であるが、しかし最後の章のタイトルを見て何となくわかるように、19世紀まで(電話・タイプライター・ミシンなど)で終わっている。
また、上にデカルト、ガリレイ…と羅列したが、この本は理論家や発明家、つまり人を中心に記述してある。科学者列伝・発明家列伝のような性格もあると言える。ただし、著者としては、そうした偉人は讃えられるべきではあるが、「もっと強調したいのは、残念ながら歴史の舞台にはあらわれなかった無数の科学・技術者や科学・技術の愛好家たちの研究と努力を忘れてはならないという点」*1だそうである。
さてこれは図説である。各科学・技術者とその功績に関する説明もいいのだが、何より図版が面白い。こういう発明品の図や理論の模式図の版画などは見てるだけで楽しい。
*2
*3

*1:同書pp.i-ii

*2:同書p.257より

*3:同書p.291より

心霊スポットの成立

先日、ある映画監督さんに聞いたお話で面白かったのが心霊スポットの成立に関するものだ。その監督さんはホラー映画の取材で心霊スポットを回っていたそうで、その際に知ったという。どのようなものかというと、

昭和期日本の話だが、ある神社に一人の巫女がいた。巫女は神子である。その巫女は第2次大戦中、地域の住民達を鼓舞していた。しかし、周知の通り日本は戦争に負けた。地域住民達は巫女を“嘘つき”であるとして蔑み始めた。当然神社に通う人もほとんどいなくなってしまう。しかし、神社の者とて生活をせねばならない。この巫女は売春婦となった。夜になると、地域の男達は神社に通って巫女と関係を持ち、お金を渡した。こうして巫女は何年も何年も売春婦をやりながら生計を立てていたのだが、ある日この神社に侵入した何者か(賽銭泥棒か何かだろうか)の手にかかり、殺されてしまう。当然、この殺人事件と売春には何の繋がりも無い。しかし、巫女と関係を持った男達は、この巫女の死に対して、えも言われぬ罪悪感、うしろめたさを感じたという。ある晩、その地域の男が一人、神社の前を通った。その時、何か声のようなものが聴こえてきたのだという。その男はかつて巫女と交わった者の一人だ。もしかしたら猫の鳴き声だったのかもしれない。だが、巫女の死に何か奇妙なうしろめたさを感じていたその男は、死んだ巫女の声だと思い込んだ。それが地域の人々に伝わる。そして、いつの間にかその声は死んだ巫女の声と信じられるようになり、その寂れた神社は心霊スポットとなった。

という具合である。細かいところは違っているかもしれないが、大体合っていると思う。私は幽霊の類や超常現象などは、実感として全くピンと来ない。遭遇したことがないし、なんとも言えないという感じだ。
しかし、上に書いた巫女の話を聞いたときは、結構感じるものがあった。私は心霊スポットそのものよりも、その心霊スポットがいかにして心霊スポットと呼ばれるようになったのかという話の方がピンとくるようだ。今まで心霊云々がいまいちよくわからなかった私も、別の形で心霊まわりの話に興味が持てるようになるのかもしれない。

赤塚不二夫展@大丸心斎橋店 あと グレンスミス

先日大阪心斎橋の大丸で開かれている「赤塚不二夫展: ギャグで駆け抜けた72年」に行った。
私にとって赤塚不二夫は、なんか凄いと言われている人程度の認識しかないと言っていいかもしれない。もちろん、天才バカボンひみつのアッコちゃんなんかは作品を読んだことはほとんど無くてもかなりなじみがある。特に私は筋肉少女帯が好きだったりするので、そっち経由でもーれつア太郎の名を知ったりもする。だけど、昔人気のあった漫画家ということ、トキワ荘にいたとかそういう話以上に何かを知っているかといえば怪しい。これほど有名であるのに。
そんな赤塚不二夫の事を知るいい機会でもあるだろうと思い(もちろん読むのが一番いいのだが)、行くことにした。
この展覧会には赤塚の描いた漫画が展示されていたのだが、その実験的な手法には驚いた。それが単なる実験に終わらないというのがまた凄い。
また「シェーッ!」オンパレードというコーナーが面白かった。これは何かと言うと、様々な有名人がシェーッ!をしている写真、あるいは漫画家たちによるシェーッ!のイラストがずらっと並んでいるコーナーである。今思いつくだけでも、写真が中川翔子大槻ケンヂ明石家さんまタモリ茂木健一郎テリー伊藤クロマニヨンズなどなど。イラストのほうは吉田戦車鳥山明さくらももこうすた京介藤子不二雄Aなどといったそうそうたる面子。(美水かがみによるこなたのシェーッ!があったのは驚いた)。これは本当に圧巻であった。そしてシェーッ!ってすげえなあ、赤塚不二夫ってすげえなあ、漫画ってすげえなあとか思ったのだった。
約2000円にて展覧会図録を購入した。
http://www.fujio72.com/



話は変わって、最近購入したCDがよい。
グレンスミスの『ROMAN ALBUM』というアルバムだ。
バンド名は萩尾望都からの引用。ツボじゃないか…。
そして実際にアルバム全体を聴いて、もし私がミュージシャンだったらこんなアルバムとか作ってみたかったかもしれないなと思った。アルバムタイトルにもあるとおり、ロマンティックなアルバムで、メロディーも歌詞も凄く綺麗だ。郷拓郎の声も独特で面白く、うーむこれはいいなーなどと思いながらループしていたりする。胸アツ。
YouTubeにアルバムの一曲目があったので貼り付けておこう。

Roman Album

Roman Album

ちなみにわしはアフィリエイトやっとらんで

タワレコ

今日はたこ焼きを食べたり、タワレコに行ったり、諸々やった。
タワレコではベリオの《シンフォニア》のCDを購入。
以前ブーレーズ指揮のものを持っていた気がするが家のCD棚に見当たらないので、
欲しいとは思っていた。
今回買ったのはリッカルド・シャイー指揮のものだ。
ライナーノートが気に入った。というのも、ポール・グリフィスの著作の訳などで有名な石田一志が、「シンフォニア第3部鑑賞の手引き」と題してどこで何が引用されているのかを表としてまとめているのである。このようなライナーノートがあったとは知らなかった。これが1000円CDのライナーに載っているのは、良いと思う。

http://bit.ly/hvAVIt

ちなみに禁煙6日目である。