読書メモ:『ハダカデバネズミ』
吉田重人、岡ノ谷一夫『ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係』岩波書店(2008)
まだまだ研究がそれほど蓄積されていないようだが、ハダカデバネズミが鳴き声を使って階級を確認しているのではないか、という話や、地中のトンネル内の環境に適応した聴覚や鳴き声の特性を有しているのではないかという話など面白かった。
あるいは大学でのハダカデバネズミの飼育、研究の際に、停電や学園祭といったものが心配の種になるという話も興味深かった。停電が困るというのはわかるが、バンドのライブの際の大音量や振動が、学園祭の時期の寒さなどと共に、ハダカデバネズミにとっては危険でさえあるというのはなるほどと思った。「一部のデバは気が立って殺し合いを始める」、などということもあるそうだ。私も学園祭のライブ演奏に対してうるさいなと思うことはあるし、それによって読書が出来ないなどということはあり得るが、文学部などの場合は基本的には単に学校に行かなければよいだけである。あるいは音楽系の専攻であれば(バンドのライブほどの騒ぎではないとはいえ)毎日それなりに響く音が鳴っているわけで、いつの間にかそれが普通になったりもする。しかし研究室での飼育や実験を行う生物学などではそれらとは全く事情が異なる。学園祭の時にそんな苦労をしていたのかと、私には馴染みのない学園祭への視線が知れたのは面白かった。
本書の特設サイトではハダカデバネズミの音声や動画などを視聴できる。
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0074910/
ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)
- 作者: 吉田重人,岡ノ谷一夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/11/06
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 60回
- この商品を含むブログ (24件) を見る